中国での企業経営

◆外資企業の中国撤退事例  2015.02.13

1)西鉄城精密(広州)有限公司 2015.02.05
 日本のシチズングループの中国の重要な生産拠点である西鉄城精密(広州)有限公司は2月5日、突然解散を宣言し、従業員全員の労働契約の解除を通達した。同社の工場の1000人余りの従業員は、何の事前通達もないまま、一瞬で職を失ってしまった。
 西鉄城は解散の宣言前、政府関連部門への報告を行っており、解散手続きは法規に従ったものだと主張している。しかし、経営の重大な変更情報を従業員に早期に通達せず、上には知らせても下に知らせなかったことは、、中華人民共和国労働契約法に明らかに違反している。西鉄城はこれについて、事前通達すれば従業員の情緒に影響し、通常業務に支障をきたすと考え、最終日に通達したと説明している。
2)山東松下電子信息有限公司 2015.01.30
 パナソニックが山東済南に設けた山東松下電子信息有限公司は1月30日に操業を停止した。同社は資産整理を進め、従業員との間で補償の話し合いを進めたが、具体的な離職期日はその後、明らかではない。
パナソニックの従業員解雇はこれまでも問題だったが、上海浦東のプラズマディスプレイ工場が操業停止した際は、会社に有利な一方的な条項や不平等契約をめぐりパナソニック上層部と従業員の交渉が行われた。
3)微軟有限公司(北京、東莞) 2014.12
 マイクロソフト社は昨年12月、今年第1四半期に北京と東莞の製造工場を閉鎖すると宣言。工場閉鎖で解雇される従業員は約1000人にのぼる。マイクロソフトは、「勤務年数プラス2」カ月分の月給にボーナスを足した額を補償額とした。
4)Adobe 2014.09.24
 Adobeは2014年9月24日、中国の業務を市場開拓に集中させる方針を明らかにし、研究開発を行っていた中国の機構の閉鎖を宣言。この機構は12月末に運営を停止し、多くの従業員が解雇された。従業員には「勤務年数プラス5」カ月分の月給が補償額提示した。
5)明治乳業 2013.10.24
2013年10月24日夜、明治乳業の公式サイトに「『明治珍愛シリーズ』の販売停止に関する明治乳業の声明」が発表された。日本本社は、中国市場から撤退する製品は粉ミルクだけで、アイスクリームなど傘下のその他の製品は引き続き中国での販売を続けていくとした。粉ミルク関連の従業員に対して明治の本部は異動などの措置を取った。
6)アディダス 2012.07.18
 アディダスは2012年7月18日、中国唯一の直営工場を閉鎖した。工場の従業員は、職位と勤務年数に応じて「勤務年数プラス1」カ月分の月給を補償額として受け取った。
7)「上海愛則時装」総経理失踪 2014.01
日本人総経理が出国したまま戻らず、従業員134人の賃金316万元(約5400万円)が未払い。3年ほど前から業績が悪化、従業員のリストラを進めていた。さらに昨年9月、会社側が従業員に賃金一律30%カットを通告。

★中国の「中華人民共和国労働契約法」
 生産や経営に重大な困難が発生した状況下では、「解雇者数が20人以上または企業の従業員総数の10%以上に達する場合、雇用者側は、30日前に労働組合または従業員全員に状況を説明し、労働組合または従業員の意見を聴取した後、人員削減プランを労働行政部門に報告して初めて、人員削減ができる」としている。

西鉄城精密(広州)有限公司の正門 2015.02.06

コマツ・コベルコ・太平洋セメントの人員削減 2015.11.13

景気が減速する中国で日本企業が人員削減に踏み切る動きが広がってきた。コマツと太平洋セメントは現地従業員の1割を削減。東洋製缶グループホールディングスは中国での飲料缶製造から撤退する。2008年のリーマン危機後の景気対策で投資が急増した建設関連などでは、設備や人員の過剰が鮮明になっている。人件費上昇に受注獲得のための価格競争激化も加わり、事業縮小を迫られる企業が出てきた。
1)コマツ
 2015年度に入って現地従業員の1割に当たる約500人の人員削減を実施したことを明らかにした。希望退職者を募集し、派遣社員らの契約延長を見送った。2014年度までの2年間の削減が500人だったのに比べて2倍のペース。建設工事の減少を受け、中国での建設機械・車両の売上高は、2015年4~9月に前年同期比44%減と大きく落ち込んだ。
2)コベルコ建機
 2015年初めに浙江省杭州と四川省成都の工場の約1500人の人員を2015年末までに約200人削減する。
3)太平洋セメント
 中国で希望退職を募り、2016年をめどに3カ所のセメント工場全体の1割弱100人程度を減らす。

日系企業の対中投資が減少 中国市場には引き続き期待 2015.11.14

JETROは2015年9月18日、日系企業の対中投資をテーマとしたメディア向けの説明会を開催した。石毛博行理事長は説明会で、「中国経済の成長ペースの鈍化にともない、目下の日系企業の対中投資は引き続き相対的に慎重な様子をみせているが、中国市場について責任を負う立場の日系企業の主管者たちは今後も中国での事業を拡大するべきだと考えている」と述べた。
中国商務部発表報告書では、今年1~8月の日本の対中投資は22億5000万ドル(約2700億円)に上り、前年同期比28.8%減少したとなっている。
JETROが2014年12月実施した「在アジア・オセアニア日系企業実態調査」では以下のようになっている。
○大手製造業企業
  引き続き対中投資を拡大する・・・47.1%
  現状維持・・・・・・・・・・・・46.0%
  中国市場での投資規模を縮小又は中国市場から撤退する・・6.9%
○大手非製造業企業
  引き続き対中投資を拡大する・・・55.2%
  現状維持・・・・・・・・・・・・39.6%
  中国市場での投資規模を縮小又は中国市場から撤退する・・5.2%
○在中国日系企業
  中小企業の投資意欲が相対的に低いものの、対中投資規模を拡大または現状維持・・・・87%以上
 ジェトロが今年6月~8月に日系企業35社を対象に行った調査では、日系企業のほとんどが中国経済は引き続き安定的に成長すると考えており、一部の企業は中国経済の景気が悪くなっているとは感じられないと答えた。

ある日系機械メーカーは、「中国は、今後はこれまでのような超高速の発展を再現することは難しいかもしれないが、国内総生産(GDP)成長率が7%から6%に下がったとしても、なお高度成長の範疇にあり、中国経済の成長ペースが急速に低下したとは考えられない」との見方を示した。

◆中国から撤退するときの注意事項 2015.11.25

撤退時の注意事項

◆中国から撤退の手順 2015.11.25

 外商投資企業が中国から撤退する理由は、主として経営不振による重大な欠損、企業経営期間満了、コスト的にその他の国と比較した場合の競争力の喪失、外国投資者の投資戦略の変更、中国の外商投資政策の転換などである。いかにして適法に、支障なく中国から撤退するかは、撤退企業が考慮せざるを得ない課題となっている。
◇外商投資紀ぎゅ撤退の手順
1)株主総会(又は董事会)による解散決議
2)清算チーム設立
3)商務部主管部門へ清算申請し書記回答を取得
4)工商行政管理局での清算チーム届け手続き
5)債権者への通知新聞広告掲載
6)従業員の整理
7)会社資産処分、債権債務整理、税金追納
8)税務登記抹消
9)地方税、国税の抹消
10)投資者への残余財産分配、送金、銀行口座抹消
11)外貨管理局へ外資登記抹消申請
12)商務部主管部門へ申請、正式回答書取得
13)工商行政管理局への企業抹消申請
14)労働局へ社会保険登記抹消申請など

上海アイリスが本社倒産のあおりで工場閉鎖 経営幹部夜逃げ 2015.11.25

日本人の経営幹部が「すぐに戻ってくるから」と言って再びこの大陸に戻ってくることはなかった。2015年9月、中国・上海で長年、縫製業を営んでいた日系企業アイリスが中国から「夜逃げ」をした。
アイリスが中国・上海に進出したのは天安門事件から2年後の1991年のこと。
 女性用下着を製造するアイリス(徳島県美馬市=大手下着メーカ)は9月11日に営業を停止し、事後の処理を弁護士に一任した。10月16日には徳島地裁美馬支部から破産手続きの開始決定を受けた。
 中国の現地法人は、従業員の解雇や会社清算などの手続きをしないまま、放置された状態だ。同社の佐々木喜庸史社長も「夜逃げのような形になってしまった」と認める。日本人の経営幹部がいなくなった後、突然、事業停止を告げられ、職を失った約240人の元従業員は途方に暮れている。「何が起きているのか分からない。せめて退職時の補償金だけでも払ってほしい」(元従業員の一人)。中国の現地法人に残っているいくばくかの現金を求めて、中国の労働紛争仲裁委員会に仲裁を求めているが、解決の見通しは立っていない。
 これまで中国から夜逃げすると言えば、韓国企業や台湾企業だった。真面目な日本人は撤退に当たっても正式な手続きを踏むと言われてきた。その日本企業の夜逃げに現地の中国人も驚きを隠さない。「今後は日本企業との付き合い方を考え直さなければならないかもしれない」。アイリスに従業員を派遣してきた上海の人材派遣会社の幹部は言う。

閉鎖した上海愛麗孫公司

◆日系企業の現地化問題事例 2015.11.26

中国の日系企業は、現在現地化を進め、日本人駐在者を帰任/削減する傾向にある。しかし、無理・無謀な、「現地化」での影響で、マイナス面が出ている企業がある。
事例1.上海福喜食品有限公司のずさんな工場管理
 2014年夏に、賞味期限切れの鳥肉を出荷するという事件が発生。
・「床に落ちた肉を拾って戻したり、変色した肉をラインに流したり」の映像放送。
・従業員は、テレビ局の潜入取材で「期限切れを食べても死ぬことはない」発言。
・上海当局の調べに対し責任者が、期限切れの利用は長年続いた会社のやり方で上層部の指示だと語った。
・内部告発した従業員は期限切れ鶏肉の利用について、問題があると上司に訴えたが解雇された。
・マクドナルドとファミリーマートのみが該当肉を輸入していたことも判明し、両社は直ちに輸入を取りやめた。この報道では「駐在員を置いてしっかりチェック・管理をするべきだ」と言わざるをえない。
事例2.天津:某日系製造業企業 中国人副総経理にまる投げ
・歴代の総経理達は、日本本社の取締役が兼任。
・総経理は「出張ベース」で年間:90 日~120 日だけ中国に滞在。
・日本側資本は90%近くでも、「中国側」合弁会社の発言が、かなり強い情況。
・副総経理は 2 人で、日中双方から 1 名ずつ任命。
・中国側の「劉:副総経理」が共産党幹部、地元政府との交渉や根回しを、うまく取り計らってくれたため、大きな経営問題は起きず。 
・日本本社の総経理達は出張ベースのため、この劉:副総経理に頼る部分が大きく、「ほぼ丸投げ」状態。
・董事会でも、中国側の意見を無視できず、日本側の意見を反映するのも一苦労だった。
 問題は、丸投げした劉:副総経理の管理が「適切に行われているか?」という点である。実際は「否」。昇給や昇進、配置など人事権を一手に握っていた劉は、「社内:独裁者」だったこと。

現地化の弊害 現地採用者の巧妙な手口  2015.12.07

現地採用された某中国人管理職は「日系企業で中間管理職を任されている現在が最も実入りがいい」としてその「実入りの手口」を伝えている。この男性は、40代前半で月給手取り1万元、毎月10万元~20万元が親族の口座に振り込む。高級公萬の最上階で優雅に暮らし、2台の独車を乗り回している。
 1990年代に日本の大学に留学、帰国後は日系精密機械公司で営業している。この業界では人気の日本ブランド。中国企業購買担当者から、「少しでも多くの玉を他社より早く回してほしい」と言われ、接待や付け届けだらけの毎日である。しかしこれは商業賄賂になるが境目が不明。
◇個人へのリベート策例
 ・納入見積額の水増し、支払後に口銭を受け取る 支払額×15%が相場
 ・日本から輸入すべき重要部品の偽造品を中国で生産、純正部品と偽り販売 利益はまる儲け
◇会社のお金は自分のもの
 ・伝票操作で差額をとる
 ・公司費用でない伝票を公司経費で処理し、懐へ

中国「世界の工場」に陰り 「労働コスト」日本超す 2015.12.06

「世界の工場」と呼ばれる製造業の拠点である中国の地位に陰りが見えている。中国市場の成長鈍化が影響しているほか、人件費の上昇も影を落とす。表面的な人件費に労働生産性も加味した「単位労働コスト」では日本との逆転現象も起き、日本企業の国内回帰も広がりつつある。
◇神戸製鋼
 神戸製鋼は衝撃を吸収するサスペンションに使うアルミ鍛造部品の増産投資を延期。当初は今年秋に生産能力を4割高める計画だったのを1年程度延期しており、さらに先に延ばすという。中国の新車市場の成長が鈍化傾向にあるためだ。一方、新車市場が堅調な米国では、同じ部品で約70億円を投じて生産能力を8割高める。
◇ツガミ
 2014年まで中国市場が急拡大したスマートフォン(スマホ)も飽和感が強まり、関連企業に影響が出ている。スマホ部品の精密加工などに使う小型旋盤大手のツガミは中国で月1500台の生産能力を持ち、今春は月800台程度を生産していたが、足元は300~400台にとどまる。
◇アダストリア
 人件費の上昇を受け中国生産比率を引き下げる動き。「グローバルワーク」などのブランドを持つが、今後5年以内に9割から7割に下げる。代わりにベトナムなど東南アジアを1割から3割に高める。日本への輸送コストは膨らむが、人件費の抑制で全体のコストは1割下がる。
◇ダイキン
日本国内に生産を切り替える動きも拡大。家庭用エアコンの中国での生産を今年度は前年度比約2割、15万台減、滋賀製作所(滋賀県草津市)生産を同20万台増の100万台に引き上げ。
◇TDK
 中国などアジア生産を拡大してきたTDKは、日本との人件費の差の縮小を受けて「新たに人件費が安い地域を探すよりも、国内生産で競争力を高める」(上釜健宏社長)という方針に転換。本荘工場(秋田県由利本荘市)などに新しい製造棟を建設している。

◆2014年東北3省の在留法人数と日系企業数推移 2015.12.07

2010年~2014年の推移(JETRO調査資料から引用)

パナソニック、大連に車載電池工場 500億円投資 2015.12.26

パナソニックは中国大連市で電気自動車(EV)など向けの電池工場を建設する。総投資額は500億円。現地企業と合弁を組み、2017年の稼働を目指す。大気汚染が深刻な中国では政府が環境性能に優れるEVなどエコカーの普及を後押ししている。
 EVや走行中にエンジンを補助的に使うプラグインハイブリッド車(PHV)などに使う角型の車載用リチウムイオン電池を生産する。同社は車載用リチウムイオン電池で世界最大手。中国ではパソコン向けなどの電池工場を持つが、車載向けの専用工場は初めて。年間生産能力:EVで年20万台程度を想定。

日経記事から転載

中国で店舗展開するヨーカ堂戦略 2015.12.27

日本で最大40店の閉鎖を検討する総合スーパー大手のイトーヨーカ堂が、中国内陸にある成都市で2016年以降大型店を相次いでつくる。イトーヨーカ堂は1996年、中国の外資系小売りで初の全国展開の認可を受け北京市に進出。しかし苦戦が続き9店舗を5店舗に縮小(理由は安売りイメージが浸透、北京オリンピック後に消費者離れ)。しかし、反日デモで店を壊されたこともある四川省成都市には、日本と中国にある約200店すべてのなかで売り上げトップの双楠店があり、知名度と好調な販売戦略を生かしたい中国戦略である。
 成都市では現在6店を展開するが、2016年に商業施設内に、2017年には創業者の名前を冠した大型店「伊藤広場」を出す計画だ。中国総代表の三枝富博さん(66)は「四川省だけでも、人口は約8,600万人。まずはひとつの地域の圧倒的なシェアを握る戦略を進めたい」と意気込む。グループのセブン―イレブンも進出しており、自社ブランド商品の展開などを強化する。
◇成都市での食文化と消費者ニーズの変化で食の安心・安全への意識は高く、スマートフォンをかざすと
 農産物の生産地情報が表示されるしくみも入れている。
 ・有機農法の野菜や果物がよく売れる
 ・豚肉よりも牛肉がよく売れている
 ・牛乳は添加物入り(長期保存)よりもフレッシュな牛乳へ
 ・腹一杯よりも美味しいものが食べたい消費者心理
(朝日2015.12.26から引用)

成都双楠店で調理法方を説明しながら販売(朝日新聞から引用)

上海でばか売れのハート型「三島コロッケ」とは? 2015.12.27

静岡県三島市の箱根西麓産メークイン「三島馬鈴薯」を使ったご当地グルメハート型「みしまコロッケ」(三島炸肉饼)が、中国上海市で若者を中心に大きな人気を呼んでいる。
食品卸売などを手掛ける「東平商会」(長泉町)が上海市内の百貨店などで販売したところ、日本の3倍近い値段ながら1週間で4千個を完売。しかも帰国後に上海の商社から1万個の注文があったとか。三島を舞台にしたドラマ「ごめんね青春!」の人気もあって順調にファンが拡大中で、本格的な海外進出の足がかりになりそうだ。
 みしまコロッケは日当たりが良くミネラル分豊富な箱根西麓産の三島馬鈴薯を使った一品で、独特の甘みとほくほくした食感が特徴。昨年放送のドラマ「ごめんね青春!」にも登場し、人気と知名度がアップしている。
 同社は11月26日~12月2日、富裕層向けのスーパー(City'superIFC店)や久光百貨店でプロモーション(宣伝)し、冷凍品に加えて揚げ調理した単品も用意。1パック8個入りを日本(690円10個入り)の約3倍となる86.5~95元(約1730~1900円)で販売したが、売れ行きは予想を大きく上回るペースで、「ただのジャガイモなのに甘くておいしい」などと好評だった。(伊豆新聞2015.12.27)
ところで、このみしまコロッケを食べた方は情報をお願いします。たかがコロッケされどコロッケ?

上海市で人気のみしまコロッケ
ハート型のみしまコロッケ

中国で「稲盛和夫の経営書」がヒットするのは何故か   2016.01.14

京セラ創業者で名誉会長の稲盛和夫氏(83)の著書が昨年8月末、世界累計発行部数1千万部を突破した。海外でも19カ国語に翻訳されているが、海外で発行部数510万部のうち9割以上が中国での発行である。
 編集した某氏によれば、2008年に稲盛氏が現地のテレビ番組に出演したことで人気に火がついた。中国での「生き方」の好調を受け、2009年に稲盛氏が北京市の北京大や精華大へ講演に訪れると警官隊が出動するほど聴衆が詰めかけた。「教室には立ち見どころか、稲盛氏本人の後ろで聴いている人も。休憩時間には(握手などを求める聴衆で)もみくちゃにされた」。
 中国では、稲盛氏は松下幸之助氏やソニー創業者の盛田昭夫氏、ホンダ創業者の本田宗一郎氏とともに「日本の経営四聖」と称されているが、「中国の経営者はリーマンショックで欧米型の利益追求に限界を感じて、代わりに経営の土台になるものを求め始めた」と分析している。
また、政治問題で日中関係が緊張すると書店から日本人の著書が消えることが多いが、稲盛氏の本は置かれ続けている。

日本と中国のビジネス文化の違い    2016.01.20

同じスーツを着てネクタイを締めると、外見だけではほとんど区別がつかない日本と中国のビジネスマンだが、そのビジネス文化と風土は大きく異なる。米国人から見れば日本人も中国人も外見は似ているが明確に区別して対応しないとビジネスはうまくいかないと苦笑している。
◇中国人ビジネスマンの特徴
 話すのが早い、大声、アグレッシブ、攻撃的、個人>組織、遠慮が無い、競争意識が高い、戦略的な考えを好む、効率意識が高い、自己主張が強い、豊かさ=お金、明日=今日とは別の日
◇日本人ビジネスマン
 ゆっくり話す、小声、コンサバティブ、保守的、組織>個人、遠慮が多い、仲間意識が強い、地道な改善活動を好む、品質意識が高い、本音と建前が別々、豊かさ=ライフスタイル、明日=今日の延長
◇日本人はまともか?
 日本人の書いたシステム仕様書は中国人だけでなく、欧米人からも曖昧抽象的でわかりにくいとよく言われるが、中国人と欧米人の間でお互いに交わした仕様書は非常に通じやすいと言われる。日本人の眼から見れば「中国は日本と違う特殊な国」と見えるかもしれないが、中国と日本のカルチャーギャップの問題は、ひょっとしたら日本が世界的にも特殊な民族という事の裏返しなのかも。