大連特集

円安で製造系日系企業苦境                 2015.11.12

8月上旬、大連市内のホテルで開かれた電気化学工業の新工場の開業記念パーティーの席上、出席者の間で「久しぶりの明るい話だ」と飛び交った。ここ数年、現地の日本人社会では、縮小・撤退話題が中心、今回のような「前向きな投資の話はほとんどなかった」と大連に支店を置く日系金融機関の関係者は振り返る。
 現地にいる駐在員の殆どは、2012 年末から進展した円安により、取り巻く経営環境の風向きが一挙に変わった。一時は1元=12円の時もあったが、足元では同20円近辺まで上昇。1990年代初頭から多くの日本メーカーが現地工場を構え、殆どは日本への加工貿易。そのため人件費高騰とあいまって競争力が後退し、厳しい状況に追いやられてしまった。上海や広東省、山東省も同様だが大連の場合、日本とのつながりが太いことが仇になった格好である。
一方、サービス業、農業関連でを中心に新規進出を検討する日系企業は依然多い状況でもある。
大連でも、1990年代から続く労働集約型・低賃金を求めた企業進出形態は、発想を変え市場変化に沿った商機を見極めることが必要である。

大連の中国語学校が突然閉鎖        2015.11.12
日本人45人受講、10万元受講料返還されず

◆被害に遭った日本人男性の話
 2013年にチラシを見てこの学校の授業を受け、昨年には妻とともに受講を申し込んだ。すると今年7月末に突然学校から「部屋の賃貸期限が過ぎたので閉鎖する。残った授業や受講費については代表者である校長と協議のこと」との通知を受けた。
 この男性は中国語と英語の講座を申し込み、残った授業数に基づき返還されるべき受講料は妻の分と合わせて4,800元になるとのこと。男性夫婦を含み、被害に遭った日本人45人と米国人1人もそれぞれ数十元から数万元の返却分があり、返却されるべき受講料は合計で約100,360元。
男性は、大連市公安局へ訴え民事トラブルと判断、日本政府瀋陽総領事館大連出張駐在館事務所に支援を求めるよう助言した。(2015.08.09半島晨報)

大連市地下鉄 開通後の利用客が少ない 2015.11.13

大連市で地下鉄2号線が5月22日試営業して半年が過ぎた。大連市がある遼東半島は岩盤質で、地下工事は難題である駐在経験ある人なら誰でもわかるが、2010年3月から建設が始まり、幾度も開通延期を繰り返しながらようやく開通した。
 大連地下鉄は、1号線、2号線で総距離67.6kmであり、2号線(大連空港⇔海之韻)を先行開通させ、10月30日から1号線を開通させた。しかし利用客が以外に少ない情報が入ってきた。
ある女性の話では、「地下鉄を怖がって私も含めて同僚も誰も乗っていない」、「自国の技術をあまり信用していないこともある。大連の地盤はもろく地下鉄にも不向きだと言われているので私も1年くらいは事故がないことを確認してから乗る」と言っている。  大連地下鉄の料金は2元~5元。自動券売機はタッチパネル式、全ホームにホームドアが設置されている。券売機前には空港のようなセキュリティチェックがあり、すべての荷物はスキャンを通し、液体物は車内には持ち込めない。開通直後は、荷物を通す検査機械が稼働しておらず警備員が全員の荷物を開け、さらに身体検査をしていたが、1か月してようやく機械が動き出した。また、乗車マナー向上に取り組んでいるためかホームでは、車内でゴミを捨てない、飛び込み乗車をしないなどのマナーについての映像が繰り返し流されている。 自動改札は、左右から扇型の赤いバーが飛び出すタイプで、バンコクの地下鉄やシンガポールの改札と似た印象を受ける(バンコク同様に開閉時間が短い)。

大連市地下鉄案内画像

大連進出した王将の結末 2015.11.21

2014年10月31日『餃子の王将』が中国撤退を発表した話。現実的には、約10年間で大連にしか出店を果たせなかったので大連撤退と書くほうが正しいだろう。
 2005年1月大連1号店がオープンした時、『“ぎょうざ”の王将』として、「日本の餃子が中国へ里帰り」とキャッチフレーズをつけていた。一時期は6店舗まで拡大。しかし地元地権業者とトラブルを発生させたなどの噂が絶えず店舗数を減らしていく。昨年、2階建て大型旗艦店の三八広場店をオープンさせ日本人女性店長を就任させるなど業績回復を目指すも、こちらも大連撤退発表と同時くらいに閉店させた。
◇報道とは異なる意見
 王将フードサービスの渡辺直人社長が「日本の餃子の味が中国で受け入れられかなった」とコメントしたことを受け、メディアは以下の内容で報じている。 「日本風の中華が中国で受けなかった」「現地化に失敗した」 。しかし大連に滞在している日本人や日本に留学経験がある中国人たちからは、異なる感想を耳にする。 勿論、報じられている通り、中国では水餃子がメインなのに、焼き餃子にこだわりすぎたことや、オープン当初から最後までターゲット客が日本人なのか中国人なのか曖昧だった点なども業績不振の大きな要因だと思われる。確かに、餃子発祥と言われる中国東北では特に餃子の味にうるさい。焼き餃子は、水餃子の残り物を翌日焼いた「家庭の残り物」という風潮がある。しかし、焼き餃子をメインメニューとして提供して人気を集めているローカル店が存在することも事実である。
◇なぜ『餃子の王将』は大連で失敗したのか。
 大連在住日本人が口をそろえて言うのは、「日本の王将に比べて味が悪かった」である。餃子はまだいいが、エビチリなどの一品料理や丼物、特にラーメンはひどくローカル店の2倍の料金を出して食べる価値はないと味についての酷評が大半を占めている。
 中国で日本料理のFC店を展開する日本人経営者は、「丼物、たとえば天津飯の味が毎回違うので驚いた。FC店としては致命的」と指摘している。日本の味が中国でウケなかったというより、むしろ逆で日本の王将の味をそのまま大連へ持ち込み再現できていたら『味千ラーメン』くらい成功したのではと言う声も聞く。  また、別の飲食関係者は、日本ナンバー1中華料理FC店として上陸したプライドが100席以上の大型店に執着させたことも敗因の一つだと指摘している。
◇他の撤退や苦戦中のラーメン店
『8番らーめん』(本社:石川県)2011年9月オープン、2014年春に撤退決定。
『ラーメン大統領』(本社:岡山県)2012年秋に撤退。
『助屋』(本社:長野県)2007年10月オープン、現実は苦戦中で、店舗数減しながら営業継続。
◇失敗した原因は?
現地店舗の衛生管理などの失敗、大規模店に固執、出店時の市場調査ミスなど反日デモなどのチャイナ・リスク
◇成功しているラーメン店
『味千拉面』(熊本 重光産業)
『博多ラーメン味の蔵』(広島県福山市)

大連実徳集団総師:徐明氏 武漢刑務所で謎の獄中死 2015.12.31

大連にある大型企業「大連実徳集団」の総帥:徐明氏は、2015年12月4日早朝、武漢市内の刑務所の中で死亡した(44歳)。死因は心筋梗塞と中国当局が家族や関係者に説明しているが、徐氏を知る関係者たちの間で「口封じのために当局に殺された」と考えている人が多いようだ。
◇徐明氏の経歴
遼寧省の貧しい農村で4人兄弟の末子。子供の時から勉強が好きだが、成績はあまり良くなかった。借金して入った大学は、瀋陽航空工業学院社会人コース(無名学校)。卒業後、貿易会社の冷凍庫管理スタッフだった。あるとき会社の帳簿を見て「対日貿易の利益が大きい」と知り、わずか一年後に独立して自身の貿易会社を設立。当時の日本はバブルの最盛期、高級食材を輸入するのに金に糸目をつけず。数年後、青年実業家として頭角を現した。
◇薄大連市長との関係
徐明氏は、当時の大連市長:薄煕来氏に気に入られその側近となり、その後「大連実徳集団」と改名、地元政府の支持を受け不動産・銀行・保険など多角経営を展開、急成長を遂げた。薄市長がサッカーファンであることを知った徐氏は、サッカーチームを買収し大量の資金を投入。
 徐氏は商売で薄大連市長氏から様々な便宜を図ってもらった代わりに、薄氏一家に対し、時価約4億円以上のフランスの別荘をプレゼントなど賄賂を贈った。米ハーバード大学に留学中の薄氏の息子(薄瓜瓜)が、同級生や教授約40人を中国に招待したときの費用も全て徐氏の会社が拠出。
◇工業担当副首相:呉儀氏との関係
 薄大連市長だけではなく多くの要人と親密な関係を持ち、徐氏が大連で石油加工工場建設計画で大連に来た工業担当副首相;呉儀氏に対し、自身の大学時代の同級生約10人が空港で出迎えた。
◇薄の失脚と同時に拘束
 徐氏は薄氏の失脚とほぼ同時に拘束され、2013年秋薄氏の裁判で、検察側の証人として登場、薄氏一家に巨額な賄賂を贈ったと主張したが、無罪を主張する薄氏と激しくやりとりする場面もあった。薄氏が無期懲役の判決を受け、徐氏は懲役4年の判決を受け、2015年9月に刑期満了で出所する予定だった。
◇大連市内で葬儀
 2015年12月6日、徐氏の葬儀が大連市内で行われ家族と大連実徳集団関係者などだけが出席を許された。10歳の長男が父親の遺骨を抱え、土下座して参列者に一人ずつ「父がお世話になりました」とお礼を述べたという。

最近の大連:大気汚染と旺盛な消費 2015.12.30

◇新一線都市・大連、「経済技術開発区」の地位に陰り
 大連市住民の多くが嘆いているのは「日本からの観光客がこの3年間でだいぶ減っている。
 その要因は、1)円安2)日本企業・工場の撤退3)日中の政治問題である。
◇人件費上昇、自動車通勤増加で大気汚染も悪化
◇消費意欲は旺盛、「中国の消費関連分野には期待できる」
◇大連~丹東間を結ぶ「丹大高速鉄道」12月末に開通
 全15駅を時速200kmで走り、所要時間は片道約2時間弱。
◇撤退したはずの大連「王将」が復活!? 元関係者が立ち上げた店「嘉和屋「が開業
 元従業員が大連嘉和屋餐飲有限公司を立ち上げ、森ビルの裏通り風光街に開業

嘉和屋 風光街店

遼寧省丹東市の北朝鮮系レストランが閑古鳥  2016.01.08

北朝鮮の核実験を受けて、中国東北部遼寧省丹東市にある北朝鮮系レストランで中国人客が激減したり、北朝鮮への観光ツアーが一部中止になったりしている。予告なしの核実験への反感が中国国民にも広がっているようだ。
「核実験の後、客が全然来なくなった」。丹東市の北朝鮮系レストランの店主はそうこぼした。
同省では北朝鮮側が出資し、北朝鮮から派遣された女性たちが歌や踊りを披露するレストランが多い。店のテレビは核実験の成功を祝う北朝鮮のニュースを流し、女性店員も「我が祖国が強くなる」と誇らしげだったが、中国人客は激減した。店主は「中国人も核実験を喜んでくれると思ったが……」と落胆していた。
核実験場に近い中国東北部では「これまで援助をしてあげたのに」と反感を持つ住民もいる。今後、同様の動きが広がる可能性もある。(朝日2016.01.08)

丹東市にある北朝鮮系飯店(朝日)

魚の宝庫:大連市長海県の空港問題           2016.02.02

大連市の長海県は古来、漁業の盛んな島であると同時に人民解放軍の基地があり外国人は行けなかった。筆者が大連で勤務中(1989年~1996年)、中国人スタッフからは、旅順と鳥海県は行ってはいけないと言われていた。ところが改革解放の影響か、2009年に中国政府の協力により釣り人用に開放し、釣祭り観光ツアーを開催し釣り観光客を誘致し始めた。
 鳥海県の唯一の空港である長海大長山島空港は大長山島の東端に位置する空港である。1988年11月開港。1996年6月21日に大連から長海に向けての飛行中に、航空機事故が発生し閉鎖となるが、2008年2月2日に復活した。滑走路の長さは 850 m。現在、滑走路を延長する工事を実施中。
 鳥海県人民政府は、2010年に4.2万人、2015年には7.8万の利用客を見込んでいたが、2013年の利用客は4000人未満、2015年3月現在6ヶ月間運航停止状態にある。
そのため2015年に約14.8億元で拡張工事を行い、2020年の年間25万人の利用客を目指している。この事業に参画しているのは大連市にある大連機場集団公司と大連海昌集団有限公司である。
 この小さな空港が、人口約3万人のこの島に大きな影響を与えているようには見えない。空港周辺には小売店や飲食店ではなく、漁師の家が建ち並ぶ。住民たちは大連市への交通手段は主にフェリーだと話した。
この先、空港が島の経済活性化につながるのかはなはだ疑問である。

大連市鳥海県は図の2の群島

大連万達集団 王健林会長の手腕            2016.03.03

大連万達集団は、1988年に人民解放軍の軍人であった王健林が大連で不動産会社を創設し、後に北京へ本社を移転。現在は大型ショッピングモール万達広場や高級ホテルの運営、隣接するマンションの販売など中国の111都市で175のプロジェクトを展開している大手デペロッパー会社である。
 この王健林は、3月1日にフォーブスが発表した2016年版世界長者番付では18位(資産総額287億ドル=約3.27兆円)になり香港の長江実業集団李嘉誠を(20位)を抜いた。
四川省の貧しい家庭に育った王健林は約16年の軍歴を持ち、1986年に退役した後、大連市の役人の職に。これが、その後大連市で不動産事業を興すきっかけとなった。1992年に大連万達集団を創業(「万達」は多くの成功、の意味)し、現在は8つの子会社を傘下に持つ。
〇2013年9月:中国版ハリウッド建設計画発表(総額約80億ドル=約9,140億円)
 中国東部の山東省青海に「中国版ハリウッド」建設計画を発表。
〇2015年:ホィッツ買収
 オーストラリアとニュージーランドで映画館チェーン運営するホイッツ(Hoyts)も傘下に。
〇2016年1月:ハリウッド映画会社買収(35億ドル)
 ハリウッド映画製作会社レジェンダリー・エンターテインメントを35億ドルで買収。

大連万達集団 王健林会長

大連-煙台の海底トンネル構想             2016.03.24

中国国家発展改革委員会は2013年に、大連~煙台の海底トンネル施工の実地調査を正式決定している。現在、フェリー船で5時間かかる横断を約30分する計画である。大連・旅順-煙台・蓬莱まで、トンネル全長123km、設計時速250㎞/時、運行速度220km。総工費は2000億元(約3.1兆円)とされ、投資効果を疑問視する声もある。
 大連市と山東省の間にある渤海海峡をくぐり抜ける海底トンネルの構想は1990年代初期からあった。その後、いったんは同構想が語られることが少なくなったが、2011年頃から再び、トンネル建設の研究が本格化しはじめた。関係者によると、研究の報告書はすでに国務院(中国中央政府)に提出され、10年以内に完成する可能性があるという。
 これまで大連から煙台に達するには、渤海湾沿いに営口市、秦皇島蓬莱、天津市、東営市などを経由して、1,980kmの道のりを走破する必要があった。大連と煙台を海底トンネルで結べば長さは約165kmで、自動車で通過したとしても2時間程度で到達が可能。
 これまでの研究では、大連-煙台の潜在的旅客量は2020年には年間延べ3億人程度になる。トンネルが完成した場合、60%~80%が利用したとすると、年間の利用者は延べ1.8億人~2.4億人程度になるとみられる。
また、山東省から東北地方への物流も、時間とコストが大幅に低減する。現在は煙台から遼寧省瀋陽市まで30トン済みトラックの輸送料金は8,000元(13.6万円)程度だが、トンネルが完成すれば半額程度になるとみられている。

旅順と蓬莱を結ぶ海底トンネル構想
現在就航している中鉄渤海号

大連アカシア鑑賞ウォーキング開催される       2016.06.01

2016年5月24日、アカシアの花の香りが漂う大連市で第27回大連アカシア祭と北東アジア国際観光文化ウィークの開幕式終了後、日中各都市約1000人が参加する初のアカシア鑑賞ウォーキングが行われた。
風光明媚な棒睡島景勝区からスタートし、日本の19都市から200人あまりが参加、また大連に勤務または留学する日本人ら計約1000人が、アカシアの花の香りが漂う中、ウォーキングした。
ウォーキングイベント終了後、夜には交流会が開かれ、代表者には「完歩証」や「栄誉証書」などが授与され、ウォーキング関連イベントを盛り上げた。
 アカシア鑑賞ウォーキングの開幕式では、中日友好協会が香川市、東京都、広島市、金沢市、千葉県、伊万里市、北九州市、岩手県、大分県、神戸市、舞鶴市、和歌山市、静岡市、岡山市、徳島市、大阪市、群馬県、山形県、福島県からの参加者に旗を授与。「アカシアが結ぶ友情」を共有する雰囲気を盛り上げた。

旅順老鉄山南山里露地サクランボ発売開始         2016.06.02

旅順老鉄山南山里地区特産のサクランボがすでに熟し発売されています。→「遼南第一果」
旅順口区鉄山街道南山里郭家村のサクランボ大市場で、30戸余りの果樹農家が自ら栽培した紅燈、早大果、水晶など早熟品種のサクランボを販売している。粒が大きく、外見がよく、甘いサクランボは20元/斤~10~15元/斤で販売されている。(アメリカンチェリーは生産していない)
 鉄山街道南山里地区は遼東半島の最南端にあり、主に陳家村、張家村、郭家村、牧羊城村などで30品種余りの5000苗以上のサクランボを栽培している。
老鉄山という自然な障壁に恵まれ、南山里の気温が山の外より5~6℃高いため、サクランボの成熟期はいつも一週間もはやく到着する。今年の5月24日から、ここの早熟品種のサクランボが発売され、一日の販売量は500kg以上。