中国の政治と政策

本格化する中国の海洋戦略 「中国海警局」発足後の歩み 2015.11.10

月間CHINA4月号に、中国の海洋戦略に関する記事が掲載されていたので、その中から一部を転載する。 
 2014年1月には、4000トン級の海洋監視船2隻が完成し就役した。そのうち「中国海警2401」は海監東海総隊に、「中国海警3401」は海監南海総隊に配備されている。中国海警局に所属する船が釣魚島(尖閣諸島)周辺海域を立て続けに進行したことで、日本側の警告を受けた。米国側も難色を示したものの、中国海警局が南海(南シナ海)・東海(東シナ海)・黄海の3大海域で定期パトロールを行うことに影響が及ぶことはなかった。
 さらに、国家海洋局は壮大な造船計画を打ち出している。2014年には中国海警局の船20隻を新たに建造することを決定。また航空機を購入するほか、省クラスの海洋監視船の建造を引き続き推進していく意向という。このほかにも、中国船舶重工集団が4000トン級と1万トン級の海洋監視船を建造する契約を結んだことを発表しており、中国海警局が法執行体制を固め、対立が深まる3大海域の領有権を主張していく方針がうかがえる。

中国海警2401
中国海警3401
中国漁政311

1)装備拡充へ
 2013年3月に採択された「国務院の機構改革及び職務転換法案」に基づき、中国は4つの海上法執行機関である国家海洋局の海監総隊(海監)、公安部辺防管理局の公安辺防海警総隊(海警)、農業部漁業局の漁政総隊(漁政)、海関総署の海上密輸取締警察(海関)を統合し、中国海警局を発足する計画を発表した。新設する中国海警局は国土資源部の管理下におき、公安部の業務指導を受けるという。
なお、主な役割は海洋発展戦略の制定、海洋権益擁護のための法執行、海域使用の監督・管理、海洋の環境保全などにわたる。
 中国海警局が発足される前は、上述した4つの機関に交通運輸部海事局(海巡)を加えた「五頭の龍」の職域が入り乱れ、法執行の重複や運用の非効率などが問題視されていた。さらに水利工事・製塩・観光・鉱物・石油などを管理する部門を加え、中国の海洋管理は「九頭の龍が海を騒がす」と形容される状態であった。
 なお、中央政府はかねてより統合の意向を示している。当時の温家宝総理は2005年に北部湾(トンキン湾)で試験的に海監・漁政・海関・海警・海巡を統合する案を提出。温家宝総理は「失敗するかもしれないが、何としてもやってみよう」と意気込んでいたものの、最終的に実現には至らなかった。
 「国家海洋局の主要職責・内部機構・人員編成の規定」が最終的に確定していなかったが、国家海洋局は2013年6月14日から中国海警局の名義でパトロール活動を展開している。中国海警局は海上のパトロール業務を統括しながら、新装備の拡充を進めるなど、法執行体制を急速に強化している。
 国家海洋局チーフエンジニアで、海監総隊常務副総隊長の孫書賢氏は「統合・再編を経ても海監が5つの機関のうち最も装備力が高く、最もプロフェショナルな部隊であることに変わりはない。海上のパトロール業務の8割を担っているのは海監だ」と語る。
 海監は1998年と2008年の造船計画に基づいて1000トン級の船数隻を次々と配備している。とはいえ北海総隊、東海総隊、南海総隊が保有する海洋監視船のうち、半数は1970年代に配備されたもの。船体規模が小さいだけでなく、船数も限られており、日増しに複雑化するパトロール活動に対応できなくなっていた。
 先ごろ、海監は再編成前に定めた国家海洋局の第12次5ヵ年計画(2011~2015年)に基づいて海洋監視船を360隻、モーターボート54隻を建造している。だが、それらを就役させても同計画が定める1000km2の海域に1隻を配備するという目標には届いていない。
なお、新たに交付された装備拡充計画は、再編前に定めた国家海洋局の第12次5ヵ年計画に代わるもので、全面的な装備拡充に重心を置いており、南海をはじめとする海洋の権益擁護という中国海警局の海洋戦略に応じている。新たな装備拡充計画によって、上述した第12次5ヵ年計画により壮大な慣用戦略が展開されることになる。「かっては、国家資金の保障が前提にあり、目標はやや保守的だった。だが海洋権益の擁護をめぐる情勢が変化するなかで、その目標では対応しきれなくなった」と孫書賢氏は説明している。
 装備拡充計画は海洋観測衛星シリーズ「海洋(HY)」、衛星測位システム「北斗」を軸とした天文観測基地、連続航行時間が4時間を超える長距離機を軸とした航空基地、高性能の海洋監視船を軸とした海上基地、デジタル化通信を軸とした沿岸基地などにより立体的に監視できるシステムを構築する方針を示している。情報によると、中国海警局の最新式小型船は突発的なトラブルが発生した際に真っ先に現場で対応できるよう30ノット前後の速力を備えているという。また大型・中型船も最高で25ノット前後の速力があり、経済速力でも4500海里を航行できるなど、全海域をパトロールできる能力があるそうだ。
 中国が保有する3000トン級の「海警」から見て、建造を計画している1万トン級の海警の利点は航続力にあり、長時間にわたるパトロール活動が行えることだ。「1万トン級の海警の航続力は、南海を含む遠洋海域への進出を見据えた備えだろう」とアナリストは指摘する。
 データーから言えば、1万トン級の海警は日本の海上保安庁が保有し、世界最大とされる7000トン級の巡視船「しきしま」を上回る。報道によると、「速力はいずれも20ノットを下回るものの、装備はおそらく“しきしま”と変わらない」と言う。少数の中小口径砲しかないものの、2機以上の艦載ヘリを導入しているものと見られる。さらに中国海警局は海上のパトロール業務を支える最新装備を一式購入する意向を示している。それにより中国海警局の船が任務遂行に必要な偵察や追跡、監視などの能力を備える狙いのようだ。
 国家海洋局は、“非警察・非軍隊”の準軍事組織としての管理体制を目指している。海監は長年の取り組みの中で、海監と海軍が密接な連携を図ることがプラスに働くとおい考えに至った。威嚇的な軍事力を十分に維持しながら、海監の準軍事化を進める。そうすることで、中国が領有権問題の解決を図る上で衝突を避ける時間が得られると言う。
 「些細な衝突であっても、海軍艦艇を出動させれば外交問題に発展する」と孫書賢氏が語る。現役体制による管理は、中国海警局がそのまま国家武装力になることを意味する。下手をすれば周辺国家を刺激し、中国脅威論がとりざたされる恐れがある。「春節前に管理体制法案が確定する予定だったが、発表されなかった。横やりが入ったのだろう」と国家海洋局の内部関係者は語る。海洋政策のための最高調整機関となる国家海洋委員の設立も構想段階に留まっており、中国海警局の管理体制が確立されるのは時間がかかりそうである。

2)南に向けた海洋戦略
 装備拡充のほかに、中国海警局のもう一つの変化はパトロールの重心を南の移したことだ。「南海は管轄海域が最も広く、摩擦が最も激しい。将来的に、パトロールの重心は特殊船をはじめ全て南海に移っていくだろう」と国家海洋局の関係者は分析する。近頃海監東海総隊の能力が若干増したのは、東海が真っ先に定期パトロールを開始したことに起因する。現在までに南海諸島(南沙諸島・中沙諸島・西沙諸島・東沙諸島)区域でのパトロール業務に捜索レーダーや高輝度探照灯のほか、艦載艇や艦載ヘリなども導入。既に南海諸島の24時間パトロールを実現している。
 2012年には、中国とフィリピンの公船がスカボロー礁(中国名:黄岩島)で領有権を主張して二ヶ月余りにらみ合いを続ける事件が発生した。その時、海監北海総隊の海洋監視船17隻をすぐに派遣するなど、管轄海域をまたいだ指揮の統一を実現している。中国海警局の枠組みのもと、海域全体を統一管理し、近海あるいは海域をまたいだ救援体制を強化していく構えのようだ。
 海監の巡航力と頻度は、他の3つの部隊を大きく上回る。だが、侮ってはいけない。漁政は世界最大を誇る1万5000トン級の漁業監視船「漁政」、そして1000トン級の漁業監視船数隻を保有・また海警は1000トン級の警備艇「1001」の他、退役した海軍の「053H型」フルゲートを改装した「1002」と「1003」を保有しており、いずれも中国の海洋監視において重要な役割を果たしている。
 「海上法執行力は海監・漁政・海巡・海警・海関に集約されている」と国家海洋局の関係者は語る。海軍では、敏感かつ強硬すぎる。なお、実際に第一線で活躍しているのは海監と漁政である。漁政が保有する漁業監視船は、専属経済区と係争海域における漁業資源の管理と漁業権の保護に努めている。特殊な事態が生じた場合、船体の優位性を発揮し、相手の船を駆逐することができると言う。
 調べによると「漁政88」「漁政206」「漁政311」が就役してから、海上のパトロール活動における衝突事件がやや緩和されたと言う。
 足取りからわかるように、海監の海洋監視船と漁政の漁業監視船からなる編成部隊が、南海でのパトロール活動を常態化させている。新しい装備拡充計画がどのくらい南海に傾斜されるのか、国家海洋局も詳細を明かしていない。しかし、「配備されたのは大型船の他、航続力が高い中距離機や衝突に耐えられる高性能の特殊船に集中している」と言う。

「一帯一路」構想  2015.11.10

中国が「一帯一路」を語り始めたのは2013年の秋であり、この構想と相前後して「アジアインフラ投資銀行(AIIB)の設立準備が始まり、「一帯一路」とAIIBはペアの形で進められてきた。
この構想は既存の二国間・多国間協力を基礎に、さらに広範囲の地域協力を総合的に進めるものであり、特定の目標達成を目指すのではなく、同構想の推進を通じて中国を中心とする広範な地域の一体性を高めるところにその狙いがある。しかし「一帯一路」はあまりにも急速に計画が進められたため検討は十分でなく、走りながら対策を考えているように感じられる、
◇「一帯」
中国から中央アジアさらには西アジアにつながる地域で「シルクロード経済ベルト」とも呼ばれている。東南アジアと南アジアも含まれると見ておいたほうがよい。この地域では、中国と中央アジア諸国、パキスタン、アフガニスタン、イラクなどとの協力関係が顕著に進展しており、また、海洋政策をめぐって対立するインドとの関係改善も始まり、昨年9月には中国の習近平主席がインドを訪問している。
◇「一路」
中国から南シナ海、インド洋、アラビア海を経て地中海に至る海上交通ルートのことで、「海上のシルクロード」あるいは「真珠の首飾り」とも呼ばれている。中国から中央アジアを経て欧州へ通じる古代の「シルクロード」を海上でイメージしたもの。

中国の主張する一帯一路構想

「一人っ子政策廃止」の意味 2015.11.10

中国は2015年10月29日、一人っ子政策を廃止し、2016年1月1日から実施し、あらゆる夫婦が子どもを2人持てるようにすると発表した。この措置は、急速に高齢化する社会と、縮小する労働人口による人口動態上のひっ迫に備えることを狙っている。一人っ子政策について知っておくべきポイントは以下の通り。
1)なぜ一人っ子政策を施行したか:人口抑制
 中国は1980年に一人っ子政策を施行。爆発的に増える人口を制御し、生活水準向上の一助にするのが狙いだった。この政策はおおむね目標を達成したと専門家たちは言うが、人口抑制目標を達成するため、当局が女性たちに中絶や不妊手術を強い、高齢者の世話を一人っ子が負うことになる問題だった。
 中国は2013年にいずれかの親が一人っ子家庭だった場合、その夫妻は子どもを2人持てるように規則を緩和したことがある。今回の廃止決定は、それらの問題を事実上認めたことになる。
2)廃止する理由:労働生産人口減少に歯止め
 中国の労働年齢人口(15歳から64歳)は劇的に縮小。国連は、中国が2010年から2030年までの間に700万人の労働者が減ると予測。同時に、中国の高齢者人口は2010年の1億1000万人から2030年には2億1000万人に達し、2050年までには人口の4分の1を占めると予想。
3)廃止の影響:望まない家族と生育委員会の解体の行方
 中国国家衛生計画生育委員会では、2年前の緩和により新生児申請は145万人となった。これは専門家たちの想定を大きく下回るという。一人っ子政策から免除されていた人が少なくない農村部の住民でさえ、家族を増やしたがらない。2人目以上の子どもを持つことに伴うコスト増。一方、廃止で最大の抵抗勢力である政府部門「計画生育委員会」が解体され50万人以上の職員、規模4千億円の利権はどこへ向かうのかが問われている。

「中国の夢」 中華民族の偉大なる復興 2015.11.12

習近平は国家主席に選出(2012.11.15)された半月後、2012年11月29日に重要談話を発表した。各種の公開されている内容を整理すると以下の通りだった。
1)過去を振り返ると、立ち後れれば叩かれるのであり、発展してこそ自らを強くできるということを全党 同志は銘記しなければならない。
2)現在を見極めると、道が命運を決定づけるのであり、正しい道を見出すことがどれほど難しく、我々はこれを揺るがず歩んでいかなければならないということを全党同志は銘記しなければならない。
3)未来を展望すると、ビジョンを現実化するにはまだ長い道程があり、われわれは長期間にわたり苦しい努力を払う必要があるということを全党同志は銘記しなければならない。
4)誰しも理想や追い求めるもの、そして自らの夢がある。現在みなが中国の夢について語っている。
5)私は中華民族の偉大な復興の実現が、近代以降の中華民族の最も偉大な夢だと思う。この夢には数世代の中国人の宿願が凝集され、中華民族と中国人民全体の利益が具体的に現れており、中華民族1人1人が共通して待ち望んでいる。
6)歴史が伝えているように、各個人の前途命運は国家と民族の前途命運と緊密に相連なっている。国家が良く、民族が良くて初めて、みなが良くなることができる。中華民族の偉大な復興は光栄かつ極めて困難な事業であり、一代、また一代の中国人が共に努力する必要がある。
7)中国共産党結成100周年までの小康(ややゆとりのある)社会の全面完成という目標は必ず達成でき、新中国成立100周年までの富強・民主・文明・調和の社会主義現代化国家の完成という目標は必ず達成でき、中華民族の偉大な復興という夢は必ず実現できると私は確信している。
 習近平は、過去の指導者のように堅苦しい共産党の表現ではなく、「中国の夢」を平易な言葉で述べ、中国人の感情に訴え、「中国民族の偉大なる復興」を主張し、中国共産党の統治理念となったが18世紀の清朝へ
の復帰を象徴するものに思える。
◇参考
◎毛沢東の理念
 マルクス主義の基本理論と中国革命・建設の具体的な実践との結合によって毛沢東思思想を打ち立て、マルクス主義思想と中国の実情の結合。
◎鄧小平の理念
 改革開放政策で市場経済原理を導入した新時代切り開き、中国の特色ある社会主義の路線・方針・政策を定めた。(1992年の南巡講和)
◎江沢民の理念
 三つの代表としてマルクス・レーニン主義、毛沢東思想、鄧小平理論の継承と発展であり、マルクス主義の中国化の第3の理論的な成果であるとしている。
◎胡錦濤の理念
 「和諧」(調和)と総して科学的発展観の樹立と実行、社会主義調和社会の構築、党の執政能力と先進性の建設の強化、社会主義新農村の建設、革新型国家の建設、社会主義栄辱観の樹立、平和発展路線の堅持、調和世界の建設とした。

反腐敗運動で次々と失脚する要人 2015.11.12

腐敗は中国の文化とも言われるが、中国の伝統社会は血縁や地縁、上下、官民などの関係を通して広がっていく関係社会である。関係社会では、メンバーの各々が感情的な義務とか役割を持った社会で、その義理と人情が行き過ぎれば腐敗になる。実際に腐敗と人情とは中国の歴史、伝統においては切り離せないものであった。そして今もなお中国は関係社会と人情社会である。しかし未だに、ある人達は腐敗文化を治すのに歴史と伝統に頼ろうとしているが、まさか法治を疎かにして、人情を強化しようとしているのではあるまい。そんなことをすれば元来た道に戻るようなものだ。
 新華社の論説の中には以下の評論があった。「腐敗は既に中国の文化になっている。そして中国ではそれが千年以上も続いていて、古人も治めることができなかった。それは統治者が専制体制をとっていたからである。しかし現代においても過去に倣おうとするようでは、棚からぼた餅が落ちるのを待つようなものだ。健全な民主、法制、公開、透明な政治文化を創ってこそ腐敗文化の良薬になる」。
 官僚の腐敗汚職は中国史上の「不治の通病」といわれる。昔は1人が官僚にでもなれば、一族全員を富ませて繁栄させる重大な「責務」をおのずと背負うことになるから、賄賂に手を出さずにはいられない。「一族あって公無し」は中国人の昔からの行動原理である。
 このような現象の蔓延は逆に人々の社会に対する不信感を増幅させ、「家族がすべて」との風潮をよりいっそう広がらせる結果となる。そういう意味では、「公」を食い物にしたあしき「家族中心主義」こそが中国社会の最大の病巣の一つといえるのだが、習近平国家主席が大々的に展開している腐敗一掃キャンペーンで、共産党政治局員や人民解放軍幹部、公安部幹部、各省の役人、国有企業経営幹部などを相次いで拘束し、共産党員資格剥奪、無期懲役刑などの刑罰をおこなっている。
第12期全人代第三回会議で行われた「最高人民検察院報告」では2014年の1年間に、閣僚級幹部28人を含む55,10人の党、政府機関の職員を収賄・横領等で立件したことが明らかにされた。
◇2015年9月末時点で報道されている主な失脚者は以下の通り
 薄 熙来:重慶市書記、2012年4月摘発、王立軍事件で失脚、不正蓄財1兆円。
 王 立軍:重慶市副市長、2012年2月摘発、成都米国領事館駆け込み、薄熙来の妻の殺人事件に関与。
 谷 俊山:軍総後勤部副部長、2012年3月摘発、徐才厚腹心、約6000億円不正蓄財。
 李 春城:四川省副書記、2012年12月摘発。
 劉 鉄男:国家発展改革委副主任、2013年5月摘発。
 郭 永祥:四川省人大常務委副主任、2013年6月摘発。
 王 永春:中国石油天然ガス副総経理、2013年8月摘発、国有企業NO2.
 蒋 潔敏:国有資産監督管理委員会主任、2013年9月摘発。
 王 明貴:防空兵式学院政委、2013年11月摘発。
 李 東生:公安部副部長、2013年12月摘発、CCTV出身、美人アナを周永康らへ斡旋。
 李 崇禧:四川省政治協商会議主席、2013年12月摘発。
 冀 文林:海南省副省長、2014年2月摘発、周永康の元秘書。
 金 道銘:山西省人大常務委副主任、2014年2月摘発。
 徐 才厚:中央軍事委元副主席、2014年3月摘発、江沢民腹心。人民解放軍幹部。
 蘇  栄:全国政治協商会議副主席、2014年6月摘発、人権乱用による金儲けと経済停滞の張本人。
 令 政策:山西省政治協商会議副主席、2014年6月摘発。
 周 永康:元常務委員/中央政法委書記、2014年7月摘発。江沢民派、薄熙来の後ろ盾。
 任 潤厚:山西省副省長、2014年8月摘発。
 何 家成:国家行政学院副院長、2014年8月摘発。
 令 計画:全国政治協商会議副主席、2014年12月摘発、胡錦濤の懐刀。
 范 長秘:蘭州軍区副政委、2014年12月摘発。
 馬  建:国家安全部副部長、2015年1月摘発。
 徐 健一:第一汽車集団董事長、2015年3月摘発。
 郭 伯雄:中央軍事委副主席、2015年4月摘発、人民解放軍幹部。
 王 天普:シノペック総経理、2015年4月摘発。
 肖  天:国家体育総局副局長、2015年6月摘発。
 周 本順:河北省書記、2015年7月摘発、周永康の元秘書。
 奚 暁明:最高人民法院副院長、2015年7月摘発。

怖い中国の「国防動員法」 2015.11.14

日系企業向けコンサルティング会社の某氏は、「中国政府がひとたび『有事だ』と判断すれば対中進出している日系企業も含めて、中国のあらゆる組織のヒト・カネ・モノの徴用が合法化され、戦時統制下におかれる懸念があることにもっと関心を払うべきだ」と進言している。
◇有事になれば一方的に適用
 2010年7月1日に中国が「国家の主権、統一と領土の完全性および安全を守るため」として施行した「国防動員法」の規定をさしている。全14章72条からなる同法について、某氏は「(適用の)可能性は低いだろうが法律として存在する以上、(日本にとっても)不確定要素となる」と指摘した。「有事」の定義はややあいまいながら、仮に東シナ海や南シナ海などで偶発的な衝突が起きた場合、中国が有事と考えれば一方的に適用が可能だ。
◎国防動員法第31条。
「召集された予備役要員が所属する単位(役所や企業など)は兵役機関の予備役要員の召集業務の遂行に協力しなければならない」。予備役要員は中国国籍の男性18~60歳、女性18~55歳が対象。有事の際、戦地に送られるというよりは、兵站などの後方支援や中国の敵国に関する情報収集任務が与えられる可能性がある。
 日系企業の中国現地法人が雇用した中国人従業員が同法に基づいて予備役として徴用されて職場を離れた場合も、雇用側は給与支給など待遇を続ける義務が生じる。同時に、社内情報などがすべて軍当局に伝えられても阻止するすべはない。しかも中国国内だけではなく、日本など海外滞在中でも中国国籍保持者は「国防勤務を担う義務」がある。ヒトが大問題になる。
◎国防動員法第63条
「金融、交通運輸、郵政、電信、報道出版、ラジオ、映画テレビ、情報ネットワーク、エネルギーや水資源の供給、医薬衛生、食品と食糧の供給、商業貿易などの業種に管制を敷く」とある。最悪の場合は日系企業の中国の銀行口座凍結や金融資産接収のほか、売掛金放棄も考えられる。ビジネスの基本であるカネが危ない。
◎国防動員法第54条
最悪の場合は口座凍結も。「備蓄物資が国防動員の需要を延滞なく満たすことができなくなったときは民生用資源を徴用できる」。民生用資源は、企業など組織や個人が所有、または使用している社会生産、サービス、生活上の物資、施設などを幅広く含むとされる。自動車や電機など、現地工場の生産設備や物流のためのトラックなどのモノが根こそぎ徴用されても“合法”である。
(1)国際電話やインターネットなど海外との通信手段の全面遮断
(2)国内線や国際線など航空便の運航停止
(3)中国に滞在中の日本人など外国人の預金引き出し禁止
などの措置が法的に可能になるとみて、対中進出する日系企業に厳格なリスク管理を訴えている。

中国の反スパイ法 スパイ行為を明確に定義 2015.11.20

2014年11月1日、第12期全人代常務委員会第11回会議で反スパイ法を可決した。同法は中国の法律で初めて、スパイ組織の人員募集など6つの行為をスパイ行為として明確に定義した。中国新聞網が伝えた。
 反スパイ法は現行の国家安全法を基礎に、スパイ取締り活動の特徴を際立たせるとともに、関係する法律とのつながりにも注意を払った。「総則」「スパイ取締り活動における国家安全機関の職権」「国民と組織の義務および権利」「法的責任」「附則」の計5章・40条。対テロ法は国の安全を脅かす行為についての現行の国家安全法の記述と刑法の規定を参照し、スパイ行為の定義を明確化した。
 同法は「本法で言うスパイ行為とは、中国大陸部外の機関、組織、個人が実施する、または他人を指図、資金援助して実施する、または中国大陸部内の機関、組織、個人が中国大陸部外の機関、組織、個人と結託して実施する以下の行為を指す」として
(一)スパイ組織及びその手先が実施する中華人民共和国の国家としての安全を脅かす活動
(二)スパイ組織に参加またはスパイ組織及びその手先の任務を引き受ける行為
(三)スパイ組織の人員を募集する行為
(四)国家の秘密または情報を窃取する、探る、買うまたは不法に提供する行為
(五)敵に攻撃目標を教える行為
(六)その他スパイ活動を行うこと
を挙げた。
 スパイ行為の法的責任について、同法は中国大陸部外の機関、組織、個人が実施するまたは他人を指図、資金援助して実施する、または中国大陸部内の機関、組織、個人が中国大陸部外の機関、組織、個人と結託して実施するスパイ行為は犯罪であり、法にのっとって刑事責任を追及すると規定。スパイ行為を実施しても自首した者などは処罰を軽減または免除するほか、摘発に大きな貢献をした者には報奨を与えるとした。
◇中国の外国人監視をめぐる主な立法
  旧国家安全法: 1993年02月施行 スパイ行為摘発へ盗聴など容認
  新国家安全法: 2015年07月施行 政権転覆や機密漏洩を防止
  反スパイ法:  2014年11月施行 スパイ行為を法的に定義
  反テロ法案:  2014年10月施行 テロ対策強化、IT企業規制
  NGO管理法案: 2014年12月施行 外国民間団体の政治関連活動を禁止

中国共産党員数(2014.12月末時点)

新華社が2015年6月29日に発表したデータを転載します。
党員数:8779万3000人(対前年比1.3%増、110万70000人増)
基層組織:436万箇所(対前年比1.3%増、5万6000箇所増)
  (其層党委:20万9000箇所、総支部:27万1000箇所、支部:388万箇所)
男性党員:6612万1000人(75.3%)
女性党員:2167万2000人(24.7%)
少数民族党員:605万1000人(6.9%)
大卒以上党員:3775万5000人(43.0%)
35才以下党員:2247万9000人(25.6%)
◇職業別
農業・牧畜・漁業党員:2593万7000人
技術者党員:     1253万2000人
定年退職者党員:   1621万6000人
他 労働者      734万2000人
  共産党機関職員  739万7000人
  企業責任者    901万6000人
  学生党員     224万7000人
  他        710万5000人

中国外交部報道官になるための条件 2015.06.17

新京報が2015.06.16に中国外交部報道官になるための条件を発表した。
2015年6月16日、中国外交部(外務省)報道局の斉懐遠・局長(当時)が、1983年3月1日に記者会見の席上で、「外交部は本日より報道官制度を設ける」と発表した。
中国では、報道官制度を設け、定例記者会見を開催するようになった最初の部・委員会(省庁)となった。これまでに29人が同職を務めている。国家外交の「代弁者」になるには、どのような条件を満たせばよいのか?
◇報道官が備えるべき素質とは
 外交部広報文化外交諮問委員会の陳明明委員によると、外交部は、外交官の中から最も優秀な人物を報道官に抜擢するという。報道官は、総合的に傑出した素養が求められる。
 まず、中国の外国政策を深く理解していること。次に、かなり豊かな外交実務の実績と経験を持ち、さらに頭の回転が速く、柔軟で、話し方が分かりやすくハキハキしていなければならない。
◇報道官はひとつのチームを構成している。
 定例記者会見に向けた準備はするが、記者会見の現場で、想定外の状況が起こる、あるいは、かなり答えに窮する質問が出てくる場合も多々ある。このような時に、報道官は、素早く自分の知識を総動員して、適切な受け答えを行わなければならない。そのために、表現力と応急対応能力は、報道官にとって非常に重要になってくる。
◇報道官になるには試験を受ける必要があるのか
 報道官の多くが、豊富な海外駐在経験がある。うち18人は、駐在大使を務めた。しかし、陳氏は、「大使の経歴は、報道官になるための絶対必要条件をいう訳ではない。駐在大使を務めたことがないケースもあり、報道官のポストを務めた後に駐在大使に任命されるケースもある」と話した。
 報道官のうち、男性が多数を占めているが、これまでに、5人の女性が就任した。報道官を担当する期間は人によってさまざまで、短ければ1年、長い場合は、現在の劉建超外交部部長補佐のように、報道官を7年間務めた例もある。現在の礼賓局の秦剛局長は、2期の任期で報道官を務めた。
 同一任期において、報道官チームは、報道局の局長1人と副局長2人で構成される。陳氏によると、より優秀な人材を抜擢するため、外交部は数年前から、報道官のポストを希望する者に対して選抜テスト制度を導入しているという。 
報道官のポストに空きが出た場合、通知を発表し、公開選考という形をとる。華春瑩氏は、この制度で報道官の職に就いた。彼女はそれまで、欧洲局参事官を担当していたが、選抜テストに合格し、報道局副局長となった。
◇報道官の務めを終えると何をするのか?
 陳氏は、「報道官を担当すると、本人の思考能力、突発的事態への対応処理能力が鍛えられ大きく向上するため、その後の外交活動の強い武器となる」と指摘。
公開資料を詳しく調べたところ、報道官の多くが、報道官を退いたのち、外交部など各機関の上級職、さらには党・国家の指導者に出世している。
たとえば、
◎章啓月氏:報道官を務めた後、駐ベルギー・駐インドネシア大使を歴任後、現在は、駐ニューヨーク総領事のポストに就いている。
◎銭其琛氏:報道官の後、外交部部長(外相)、中央政治局委員、国務院副総理を歴任
◎李肇星氏:外交部部長

共産主義青年団とは 2015.11.23

共産主義青年団(共青団) 中国共産党が指導する青年組織である。
2012年末の団員数は8,990万6000人。共青団の首脳を務めて地方の党委員会書記・省長に就任するのはエリートコースで、将来の政治局常務委員、政治局員の候補となる。胡錦濤前国家主席、李克強首相ら出身者は「団派」と党内で呼ばれる。
政治局常務委員7名
 ・習近平(太子党)(江沢民閥)
 ・李克強(胡錦濤閥:共青団)
 ・張徳江(太子党寄り)(江沢民閥)
 ・兪正声(太子党)
 ・劉雲山(太子党寄り)(江沢民閥)
 ・王岐山(太子党) 
 ・張高麗(太子党寄り)(江沢民閥)
◇概要
 トップの中央書記処第一書記は陸昊。1920年8月発足。翌年に発足する中国共産党の基盤を固めるために、下部組織として作られた。1925年の第3回全国代表大会で民主青年団、1949年4月中国新民主主義青年団と改称された後、1957年に現在の名称に決定される。
 青年が共産主義を学習する学校として機能しており、実質中国共産党の予備軍である。直接中国共産党に入党することも可能であるが、将来共産党高級幹部を目指すためには先ず共青団に入団し、共産党に入党するのがエリートコースとされている。共青団が指導する下部組織として中国少年先鋒隊(少先隊)があり14歳以下の少年が所属している。
 共産主義青年団中央委員会は、党中央委員会の指導を受け、共産主義青年団の地方各クラスの組織は、同じクラスの党委員会の指導を受けると共に、共産主義青年団の上級組織の指導を受ける。
 青年団の県クラスおよび県クラス以下の各クラス委員会の書記、青年団委員会の書記は、党員である場合、同じクラスの党の委員会および常務委員会の会議に列席することができる。
◇団派
 2002年に総書記に就任した胡錦濤をトップに、徐々にその勢力を拡大している。2006年には省党委書記(及び市党委書記)が上海幇、省長(副書記)が共青団出身者という構図が多く見られた。トップの上海幇は徐々に共青団出身者にとって代わられている。
◇主要な構成員
 第4世代 胡 錦濤:元中国共産党中央委員会総書記
 第5世代 李 克強:政治局常務委員、国務院総理
 第6世代 胡 春華:政治局委員、広東省党委書記
 周 強 ::湖南省党委書記
 その他
  李 源潮:政治局委員、元中央組織部長
  劉 延東:政治局委員、国務委員
  汪 洋 :政治局委員、元広東省党委書記
  劉 奇葆:政治局委員、中央宣伝部長
  張 宝順:山西省党委書記
  袁 純清:陝西省長
  宋 徳福:元福建省党委書記
◇中国共産党規約(第十章) 党と共産主義青年団との関係
第四十九条
 中国共産主義青年団は、中国共産党が指導する先進的な青年の大衆組織であり、広範な青年が実践の中で中国の特色のある社会主義と共産主義について学習する学校であり、党の助手および予備軍である。共産主義青年団中央委員会は、党中央委員会の指導を受ける。共産主義青年団の地方各クラスの組織は、同じクラスの党委員会の指導を受けると共に、共産主義青年団の上級組織の指導を受ける。
第五十条
 党の各クラス委員会は、共産主義青年団に対する指導を強化し、青年団の幹部の選抜と養成・訓練に意を配らなければならない。党は、青年団が広範な青年の特徴と必要にあわせて、生気はつらつとした、創意性に富む活動を進めることを断固支持し、青年団の突撃隊としての役割および広範な青年をつなぐかけ橋としての役割を十分に発揮させなければならない。

青年団の県クラスおよび県クラス以下の各クラス委員会の書記、企業・事業体の青年団委員会の書記は、党員である場合、同じクラスの党の委員会および常務委員会の会議に列席することができる。

中国高官の相次ぐ自殺?口封じ? 2015.11.26
2013年には1,200人が自殺

中国で共産党幹部らの「不審死」が相次いでいる。自殺に見立てた他殺、あるいは口止めではないかと、ネットでは憶測が飛び交っている。習近平政権が強める江沢民元主席一派に対する反腐敗運動が一因とみられている。公表された死亡通知や国内メディアの記事から数えると、10月23日から1カ月で、他殺や自殺などの「不自然な死」を遂げた公務員は9人にのぼる。
 当局の死亡通知には、不合理な点が多い。例えば、広西チワン族自治区柳州市の肖文蓀市長は11月4日、秘書と散歩中、「柵を乗り越えて川に落ち溺死した」と報じられた。11日、吉林省蛟河市公安局長の郭壮氏は、「執務室の窓を掃除中に転倒して死亡した」という。
 6月の上海株の暴落以後、腐敗取り締まりが強化されている証券会社へも、自殺者が出た。10月23日、大手証券会社国信証券の陳香港社長は自宅で自殺した。陳氏は、金融商品の空売りに関与した疑いで、調査を受けていたとされる。
 江沢民派の権力が強かった石油業界にも死者が出ている。中国海洋石油総公司(CNOOC)内の共産党紀律検査組長である張建偉氏が11月3日、北京本部オフィスで死亡したと伝えられた。
 高官の死亡事件は中国本土に留まらず、澳門でも発生している。10月30日、澳門女性税関長の頼敏華氏が公衆トイレで自殺した。頼氏は、江沢民派による澳門での資金洗浄(マネーロンダリング)に詳しいとされる人物で、口止め目的で殺害されたのではないかと言われている。
 中国共産党の第18回全国代表大会以降、官僚の異常死が急増している。2014年1月から9月までで32人の高官が自殺。2013年の中国共産党中央規律検査委員会の統計資料によると、当時中国本土の各階級別官僚のうち1200人が自殺したという。
 また、産経(2015.12.06)によれば、元大連市長:薄煕来への贈賄証言をした徐明(実徳集団オーナー、44歳)が湖北省武漢市の刑務所内で死去したことが明らかになった。当局は徐氏の家族ら関係者に対し、死因は心筋梗塞だったと説明。しかも死後、荼毘に付されたという。徐氏の関係者は「徐氏に心臓系の持病があるとは聞いたことがない。こんなに早く火葬されるのも理解できない」と言っている。

急拡大する中国の原発基地 2015.12.07

中国政府は今年はじめ、福島第一原発の事故で凍結した新規の原発建設を本格化させた。5年で発電能力を約3倍に増やし、世界第2位のフランスに迫る計画である。膨らむエネルギー需要と環境対策という課題を抱える習近平指導部は、「エネルギー生産と消費の革命」を掲げ、原発大国化に大きくカジを切った。
 中国では2014年に合計5基の原子力発電ユニットが稼働開始した(陽江1号ユニット、寧徳2号ユニット、紅沿河2号ユニット、福清1号ユニット、方家山1号ユニット)。中国の稼働中の原子力発電ユニットは22基となり、総設備容量は2000万kWを突破して2029.658万kWに達した。
 建造中の発電ユニットは26基で、その設備容量は約2800万kWに達する。原子力発電ユニットの稼働開始が相次いでいることは、「十一五」(第11次5カ年計画、2006-2010)期間に起工されたユニットが商業運用の波を迎えていることを示している。中国の建造中の原子力発電ユニットの規模は世界一を維持している。

中国の原発分布と主要国の発電能力2015.02.10(朝日)

習近平主席の譜代大名が続々出世 【之江新語】が人気 2015.12.14

2007年8月に浙江人民出版社から刊行された「之江新語」という書籍が中国でロングセラーになっている。今年8月までに7刷、既に180万部が売れたという。著者は習近平氏(62)。中国共産党総書記、中国国家主席であるその人が50代前半に、浙江省トップの党委書記などを務めた2003~2007年に地元紙、浙江日報に寄稿したコラムから232本を選んだ1冊である。
◆政権の中核「之江新軍」
「之江新語」の「之江」は浙江省を流れる銭塘江の別名で、浙江省そのものをイメージしたかも。その名をもじって「之江新軍」と呼ばれるようになった党幹部や政府高官の一群が注目を集めている。
 栗戦書;党中央弁公庁主任・・陝西省党委副書記
 蔡 奇:国家安全委員会弁公室副主任・・厦門市、福州市要職から省長
 陳敏爾:貴州省党委書記・・浙江省党委、宣伝部長
 徐 麟:国家インターネット情報弁公室副主任・・上海市で習近平に仕えた
 王 岐:党中央規律検査委員会書記・・下放時代に苦楽を共にした
習近平が北京の中央政界に移った2007年以降の同志で、李克強首相(60才安徽省出身)は「外様大名」。来年2016年のG20首脳会議は習近平の思い出の地:浙江省杭州市で開催が決定している。
                          産経2015.12.14掲載記事から引用

浙江省人民出版社が発行している「之江新語」

中国のサイバー部隊:61398部隊  2015.12.20

中国人民解放軍のサイバー攻撃部隊、特に悪名高き61398部隊(「人民解放軍総参謀部第三部第二局」とも呼ばれる)の存在と、そのハッキング能力の恐ろしさは、もう何年も前から「周知の事実」として世界中に知れ渡っている。中国政府が2011年に認めた「ネット藍軍」およびメディア・リサーチが指摘する「海南島基地の陸水信号部隊」などの複数指摘があり、これらが同一組織なのか別の組織なのかは明らかになっていない。
 61398部隊は上海市浦東新区高橋鎮大同路208号にあり、2007年に完成した12階建てビルに拠点を置き 英語に堪能な要員数千人を抱えて活動している。他にも上海交通大学と山東省のコンピュータ技術者養成学校 「東藍翔高級技工学校」、中国紅客連盟がハッカー部隊と見られている。
 また、国務院の治安警察である 「公安部」は、非常に大規模な国内ネット検閲システム 「金盾」を運営している。金盾は、公安部が有害と判断した海外のサイトヘのアクセスや、禁止キーワードを含む検索やメールを遮断するほか、ネット上のコメント削除、要注意人物・組織のネット活動の監視などを行っている。

中国のサーバー戦ハッキング関連部門図
61398部隊が入居する浦東新区のビル

中国の反テロ法の意味  2015.12.28

中国の全国人民代表大会(全人代=国会)の常務委員会は12月27日、反テロ法を全会一致で可決した。データ解読に必要な暗号化キーについて、通信事業者やインターネットサービス提供会社にテロ捜査にあたる公安当局への提供に協力するよう求めた。事実上の義務付けといえる。2016年1月1日から施行する。
 会見した全人代の法制工作委員会刑法室の李寿偉副主任は、欧米と同様の規定だとしたうえで「企業の知的財産、言論や信仰の自由を侵害しない」と説明した。法律の条文は公開されていないため、現段階では詳細は不明な部分が多い。
 しかし、草案は「テロの偽情報や、模倣犯を誘発するようなテロ事件の詳細を報じてはならない」と規定していた。報道されないことで、当局による法執行がさらに不透明になる恐れがある。新疆ウイグル自治区など少数民族地域で起きた事件の報道統制につながる可能性もありうる。
 さらに中国で営業する会社に対し、中国国内にサーバーを置くことやユーザーに関する情報も中国国内で保存することを規定。やり取りの記録を司法機関に提出し、テロに関するネット上のコンテンツを検閲することも義務付けられた。

反テロ法を担当する安衛星氏

2015年1月~11月中国共産党幹部4.3万人摘発 2.9万人処分
金品贈答、公費旅行・飲食…税金無駄遣い  2016.01.04

中国共産党中央規律検査委員会は習近平指導部が掲げている税金の無駄遣いなどを戒めた「8項目の規定」に違反したとして、2015年1~11月に党幹部ら4.3万人を摘発、2.9万人を処分したと発表した。4日付の中国各紙が伝えた。2014年一年間より処分人数が増加した。
習指導部は発足間もない2012年12月に党・政府幹部らに向け
(1)節約に励む
(2)視察時の横断幕はなくす
(3)会議で無駄話をしない
などと定めた「8項目の規定」を発表。党史上最大級の反腐敗運動とともに、官僚腐敗対策の切り札と位置付けてきたが、歯止めがかかっていない現状が示された。
流用や無駄遣いの代表は冠婚葬祭や金品贈答、公費旅行、公費飲食。遠隔地の農家を貸し切って宴会を開くなど、発覚を逃れる手法が巧妙化する一方、庶民からの通報は減少傾向にあるという。
特にひどい例は、天津市党委書記兼会長張建津が倹約令を無視し公費で豪遊し、習近平の指示を全く無視していた。

反腐敗運動で摘発される幹部の特徴           2016.02.03

習近平国家主席が展開する反腐敗運動で13万人もの幹部が摘発・拘束・逮捕・失墜となっているが、中央規律検査委員会が調査している中で、北京の新京報は「摘発される幹部の特徴」に8つのパターンがあると記載している。
1)秘書や腹心、親戚や家族など身近な人が相次いで身柄を拘束されたり、逮捕されていること。
  これは、周永康、徐才厚、郭伯雄のいずれにも当てはまる。
2)逮捕には至らなかったものの、党幹部を処罰する党中央規律委員会から呼ばれて、事情を聴かれていること。その後、何度も同じように事情聴取を受けて、ある日突然、身柄を拘束されてしまうケースも多い。
これは中堅幹部によくあるパターン。最高幹部の場合、多忙なため何回も事情聴取をすると圧力がかかる場合があり、入念に容疑を固めて、ある日突然、逮捕という例が多い。このため、第1のパターンのように、腹心らから話を聞いて、外堀を埋めておく必要があるという。
3)重要な会議など公務を欠席すること。
  この時点で身柄を拘束され、あとは起訴まで持ち込む材料をそろえる段階に入っているようだ。
4)海外への出国を禁じられること。
  身柄は拘束されていないものの、海外に“高跳び”されないよう、空港などの税関職員に、嫌疑をかけられている人物が国外に出さないよう「手配書」が渡されているという。
5)ネット上で、腐敗幹部の名前やその行状が密告されているケース。
  これは愛人など個人的な秘密を知りえる者が情報を漏らしている場合が多い。これで規律検査委が動くこともあるという。
6)長時間、行方が分からなくなる。
  すでに、規律検査委が管理しているホテルなどで、みっちりと事情を聴かれているケース。すでに容疑が固まっており、ここまでくると、よほどの上層部の圧力がない限り、釈放されることはない。
7)異常な行動をとること。
  会議中、上の空だとか、あるいは演説をしている際、全く脈絡のないことを話したり、演説の草稿を飛ばして読んでも気が付かないなど。
8)容貌が明らかに変化し、憔悴し切った様子がみてとれること。
  逮捕を心配して寝不足などで目にクマができたり、服装がだらしないなど。

海南省三沙市はどこにあるか知っていますか?      2016.02.24

今問題になっている南シナ海の話である。西沙諸島・中沙諸島・南沙諸島を含む三沙市は、2012年に地級市として成立した中国で最も若い都市。常住人口は海軍の駐留部隊や漁民など1000人余り。
◇西沙諸島:永興島に小学校建設(2014.06.17情報)
同島には学齢期の子ども40人がいる。学校建設には約3600万元(約6億円)が投資された。
◇西沙諸島への定期観光航路(2013.06.14情報)
中国の大手旅行サイト「携程網」が初めて発売した南シナ海に浮かぶ西沙諸島へのクルーズ観光ツアー(5日間)が開始されている。観光客らはクルーズ客船「椰香公主号」に乗り、美しい景色が広がる同諸島の観光を楽しんだ。観光客は、海南省海口市でクルーズ客船に乗り、19時間かけて同省文昌市北端の岬・木蘭角や七洲列島、西沙諸島最北に位置する暗礁・北礁などを通過し、同諸島西部の永楽群島に向かう。その後、鴨公島に上陸し、漁村を訪れ漁民の生活を体験する内容だった。上海発のツアー料金は9,210元(14.2万円)だった。
◇永興島にもEMSが届く(2016.02.23情報)
同島に駐留する北京出身の兵士:杜家斉さんは、ネット通販で注文した荷物を北京路の郵便局で受け取った。中身を確認しスマートフォンを取り出し、画面に表示された「受け取り済み」を押す杜さん。スマホ画面の4Gのアンテナバーはすべて表示されていた。

永興島の滑走路
三沙市の海監局
西沙諸島の海岸